（YamaMori サッカー研究所）
この問題に対する解答として、以前からドリブルに特化した練習方法があった。オランダ人のウィル・クーバー氏が提唱するクー バー方式である。
この練習方法は、バスケットボールにおけるハンドリング練習の足バージョンといえよう。
ハンドリング練習を見たことがない方は、まずそちらをご覧になってほしい。どうやってボールと手を馴染ませるのか、その練習方法を見ればサッカーに必要なことも見えてくるはずである。
以下の動画でドリブルに関するものは１～３である。その他はおまけ。
★YouTube参照
「ウィル・クーバーの攻撃サッカー」
私がこれに始めて触れたのはもう３０年以上も前で、そのビデオを見た時の衝撃は実に大きかった。これぞドリブルのバイブル。みんなでこんな練習をすれば日本の未来は明るいと感激したものである。
当時も今もドリブル練習というとコーンを並べたジグザグドリブルしか思い浮かばない指導者が多いが、クーバー方式はそれとはまったく異なった独特のメソッドを提案している。
詳しい説明は省くが、要はほとんど走らないということが革新的である。
つまり、ボールと一緒に走ることがドリブルだと思い込んでいる人が圧倒的多数を占める中で、このメソッドでは単に足もとでボールを動かすことにこそドリブルテクニックの本質があると教えている。
これを知った私は当時コーチをしていた小学生の練習に取り入れるべく、まずは自分で練習してみた。
ドリブルには自信があったので私にはそれほど難しくなかったのだが、小学生たちにはやや難しい面もあり成果はまちまち。
というのも、小学生年代は身体能力に成長の差が大きく、特に身体各部の協調性が問われるドリブルには個人差が出やすい。
結局、できる子はできるが、できない子はいくらやってもできない。
ま、成果がなかったというわけではないが、理想としてはいわゆるゴールデンエイジ以降に継続した指導をすることが望ましい。
残念ながら自分にそのチャンスがなかった。
当時からクーバー方式はビデオでしか見たことがなかったが、今では日本各地にスクールがあり、多くの子供たちがその恩恵に預かっていると聞く。
初めて見る人にとっては目から鱗が落ちるほどの衝撃がある。もはやこれなくしてドリブルテクニックの向上は語れないと思う。
但し、このメソッドを紹介することが本稿の目的ではない。
なぜなら、私がこれを子供たちに教えると同時に、当時まだ現役の選手だった自分のプレーに活かすべく練習を積む中で、本当に良いドリブルをするにはこれだけでは不十分ではないかと思うようになったからである。
あえて言わせてもらうなら、クーバー方式はドリブル練習法としては大変優れているが、本当に良いドリブルをするための極意は伝えていない。
その一点をお伝えするのが本稿の目的と言ってよい。
もしあなたが本気でドリブル上達法を知りたいのなら、本稿を読むとともにこのクーバー方式によるメソッドも取り入れることをお勧めする。
練習方法については稿を改めて解説するので、ここではまずドリブルそのものの良し悪しについて分析を進めて行きたい。