（YamaMori サッカー研究所）
良いドリブルとは敵にボールを取られないことである。
すぐ取られてしまうような下手なドリブルは悪いドリブルと言っていい。
敵にボールを取られないようにするためには、ボールをできるだけ身体から離さないことが重要だ。
大切な財布を掏（す）られないよう懐深く隠し持つように、ボールを敵から隠して持ち、触れられるスキを与えず、常にボールをコントロールできる距離を保ってボールを動かさなければならない。
また、スピードがあるドリブルが良いドリブルだと誉める人が多いが、それは大きな間違いである。
なぜならスピードが上がるほどボールは足から離れやすく、足から離れてコントロールを失ったボールはもはや自分のボールではなく、いつ敵に取られてもおかしくない。
コントロールを失ったボールを必死に追いかけるドリブルほど醜い姿はない。敵より早く追いつけばいいなんて言ってるようなドリブルは良いドリブルではない。
良いドリブルではボールは常に自分のコントロール下にある。つまり足から必要以上に離さないことだ。
とはいえスピードが上がればボールは足から離れやすくなるが、その距離はできるだけ短くしなければならない。
つまり、ドリブルのスピードが速かろうが遅かろうが、問題はボールが足から離ないことである。
だから絶対的なスピードがどうあろうと、自分のトップスピードにおいてボールが足から離れなければいいのである。
さらに、シザースやマルセイユ・ルーレットなど敵を翻弄する多彩な足技（フェイント）を使うことがドリブルの良さだと思われがちだが、それも違う。敵を正面から抜き去るには確かに足技も必要だが、それだけでは不十分である。
敵を抜く方法についてはまた別の機会に説明したいが、とにかくここで言いたいのは、それよりもっと基本的な正しいドリブルの姿勢である。
なぜなら、それがサッカーの技術の中で核心的な要素だからである。
あらためて定義しておかねばならない。
ここでいう良いドリブルとは、ドリブルの正しい基本姿勢のことである。
ドリブルに巧（うま）い下手があるのなら、巧いドリブルが正しく、下手なドリブルは何か間違っているのである。
だからこれからは“正しいドリブル”と書くことにする。
さて、正しいドリブルとは何か。
それはボールを足から離さないボールタッチにある。
ならばいっその事、ボールと足をくっつけてしまえばいいじゃないの。
その通り。
ドリブルの極意とはボールと足をくっつけることなり！
言うは易し、行なうは難し。
ボールと足をくっつけると言っても、止まっている場合ならともかく、動きながらボールを足にくっつけるなんてことができるのだろうか。
勿論、走るためには足を交互に踏み出さなければならないので、ボールと足を接着剤でくっつけたような真似は不可能である。
しかし実際には敵のプレッシャーがあるときだけそれに似たボールタッチができればよいので、常にというわけではない。
とにかく、方向は如何に関わらず、できる限りボールと足をくっつけて進むことが正しいドリブルの方法である。
でも、どうやってボールと足をくっつけるのだろう。